福祉国家の再編成
オイルショック以降、低成長化で税収が減少する中で社会保障支出が国家財政を圧迫するようになった。また、資本移動の自由化によって企業の発言力が増大する一方、サービス産業化によって労働組合の影響力が低下した。さらに、社会保障に限らず経済一般についても、国営企業の非効率性(イギリス)、労使協調体制の後退(ドイツにおけるコーポラティズム)など、従来の経済政策の閉塞化が問題となった。
こうした状況下で福祉国家の行き詰まりが指摘され、特に新自由主義が台頭した国々では社会保障の削減が実施された。イギリスでは、1979年にマーガレット・サッチャーが政権を獲得して以降、福祉国家の解体が推し進められた。カナダ・オーストラリア・ニュージーランドなどでも似た政策が推進された。これらの国はもともと典型的な福祉国家とは異なる政策が採られていたが、これら一連の改革以降、アメリカ化・福祉のビジネス化が更に推進されることとなった。また、当のアメリカにおいても、ロナルド・レーガン大統領が社会保障の削減[3]を実施したほか、カリフォルニア州の住民投票「プロポジション13」が「納税者の反乱」「福祉反動」の象徴と見做された。
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一方、北欧諸国では経済・社会の諸問題を解決するための改革が押し進められ、少子化対策への投資、社会保障制度の一元化などが行われた。これら北欧福祉国家の再編成は「福祉国家のバージョンアップ」と呼ばれる。
このように、グローバル化や脱工業化によって福祉国家が危機に晒されているという条件は同一でありながら、各国の対応は一様でなかった。